Luxurious marriage

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それから1週間経過。 マサムネさんは毎日研究で忙しく、なかなか会う時間がない。 仕方ないか……。 私にたくさんの愛を与えてくれるはずの人なんだもの。 大事な研究の邪魔をしてはいけないと思い、ひたすら彼からの連絡を待った。 すると電話がかかってきたのだ。 『麗香さん。僕たちの大事な家族計画について話したいことがあるんです。喫茶"Nail of a cat"で会いましょう』 家族計画!とうとう具体的な話を進めるつもり? 私は彼からの愛を求め、約束の場所"Nail of a cat"に向かった。 「麗香さんには話しましたよね。私の母が入院していると。実は、緊急で手術を受けなければならなくなりまして。その手術費用が100万円かかるそうなんですが……。お恥ずかしい話なんですが、その手術費用を直ぐに用立てできず困っているんです。私は現金をあまり持たない主義でして、私の貯金はほとんどスイス銀行にあります。麗香さん、お願いします!今回は急だったものですから、ほんの少しの間だけ100万円貸していただけませんか?」 家族って、お母さんのことだったのね……。 私がマサムネさんからのたくさんの愛を欲しいのなら、私からも愛を示さなくてはいけないのね。 「分かりました。でも私も今すぐにという訳にはいきませんので、明日にでも準備が出来次第、連絡します」 「明日ですね、承知しました。麗香さん……ありがとうございます。やはり貴女は私の運命の人です。愛しています」 言葉なんかどうでもいいわ。 後で何倍にも返してくれるわよね? とびっきりの……愛を。 「私もマサムネさんを愛してます」 マサムネさんのお母さんが入院しているという病院には、たまたま友達が勤めている。 お母さんの手術のこと、聞いてみよう。 『伊達さん?いまうちの病院に入院中の患者さんで、伊達さんなんていないけど?』 あら?もしかして複雑な家庭環境なのかしら。 名字が違うということも考えられる。 「じゃあ、緊急手術の予定がある60歳くらいの女性の患者さんは?」 『うちの病院で緊急手術とか、有り得ない。何かの間違いじゃない?』 ……どういうこと!? これは可笑しい…………。 あのお方に報告しなければ。 翌日。 私の婚約者だった、伊達マサムネ(偽名)は逮捕された。 結婚詐欺の常習犯らしかった。
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