4人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
金海麗香、32歳。
只今婚活中。
男性会員の半分以上が、年収1000万円超だという噂の結婚相談所に入会した。
まさかこんなところで王子様みたいなイケメンを捕まえられるとは思わないけど、ここならさすがに貧民を紹介されることもないだろう。
インターネットで必死に検索して、この相談所"Luxurious marriage"を探し出したんだもの。
「金海様、貴女にぴったりの男性はこの方です」
紹介されたのは大手総合商社"シーエーティーコーポレーション" の研究開発部長である、伊達マサムネさん。37歳。
写真で見ると、イケメンではないが不細工でもない、平凡な顔立ち。
「ぜひお会いしたいです!」
私に躊躇してる余裕も時間もない。
翌日なら時間が取れると聞いて、早速アポを取ってもらった。
「私は研究や実験に没頭してきましたが、この歳になり自分も家族が欲しいと思うようになりました」
伊達さんはこれまで、女性と親しくなるチャンスを逃してばかりだったらしい。
最近、お母様が入院されたそうで、家族の大切さに気が付いたという。
「お母様、ご心配ですね。私に出来ることがありましたら、なんなりと仰ってください。実は私も家族が欲しいと思い始めて、こちらの相談所に入会したんです」
ニッコリと微笑む。
この人だったら、上手くいきそうな予感がしていた。
「それは気が合いますね。それなら早速なんですが……。私と結婚を前提にお付き合いをしていただけませんか?」
「私なんかで宜しければ是非、お願いします」
会ったばかりで意気投合した私たち。
お互い結婚して家族を作りたいという思惑が合致したのだから、話はトントン拍子に進み、家族計画を話し合う仲になった。
もう"Luxurious marriage"に用はない。
二人揃ってあっさりと退会。
「伊達様、金海様、誠におめでとうございます!こんなに早く婚約が成立するとは……。最短記録更新です!奇跡ですよ!ちなみにうちで成立したカップルの離婚率は0%ですから!!安心してくださいね。本当におめでとうございます!!」
"Luxurious marriage"を後にして、二人で一緒に歩み出す。
明るい未来に向かって出発だ。
「マサムネさん、私たちいい家族になれますよね?」
「麗香さん。素敵な家庭を作りましょう!」
家族……素敵な響きだわ。
そのためには愛が必要よね。
愛がなければ、家族にはなれないもの。
たくさんの愛で包まれたいわ。
最初のコメントを投稿しよう!