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悪態をつく谷だけど、きっと社内では恵まれてる部類だと思う。
「まぁでもタニはいい方だろ。彼女、この辺住んでるんだろ?」
一か月ほど前、渋谷で開かれた合コンで見事にお持ち帰りをキメた谷くん。
社内でも端正な顔立ちで気の回ると評判の良い谷だけど、中身はただただだらしのない女たらし。
「まぁそうだけどさ。本気になられても困るしそろそろ実家戻ろうかなって」
「何言ってんだ。一か月も世話になっといて、ちゃんと付き合ってやれよ」
予想通りの返答に、俺は思わず苦笑いで返した。
「えー、だって俺らまだ25だよ?もっと遊びたいし、真剣に恋愛するには早いっしょ」
「真剣な恋愛に年齢なんて関係ないと思うんだけど」
「いやいや、あるよ。俺、重いの大っ嫌いだし」
「重いとかじゃなくてさ。愛とか情とか、普通沸かない?大切にしたいとか思わない?」
「思わないね、まったく」
ダメだこりゃ、と時計に視線を投げる。
「やべっ」
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