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今日のミーティングはやけに長かった。
デスクに戻りクーッと手足を伸ばすと、その伸ばした右手を誰かに掴まれた。
谷だ。
「ちょっと、付き合って」
言われるがまま、室内の喫煙ブースまで着いていく。
最近流行りだした匂いがつかなくて煙の少ないという電子型タバコを咥えた谷は、申し訳なさそうな顔を即座に作った。
「合コン、人数足りなくなっちゃってさ」
「また俺!?いいよ俺は…」
「頼むよ!さっきコーヒー奢っただろ?」
そういう魂胆だったとは。
俺はじとりと谷を睨みつける。
「キヨちゃん、そんな怖い顔しないでって」
「知ってるだろ?もう当分女はいいって…」
三か月前、俺は半年付き合った彼女に振られた。
好きな人ができたと、それだけ告げられて連絡手段を遮断された。
あっけなさすぎて涙も出なかった。
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