2人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
向ケ丘遊園
花が咲いていた。大きな花時計があった。
大きな回転するブランコが、一番好きな乗り物だった。
2つあったジェットコースター、幼くてどちらとも乗れないままだった。
お化け屋敷にも、入れなかった。
びっくりハウスも、完全攻略したわけじゃない。
モノレールから見える銭湯にも、結局行っていない。
アイスクリーム、夕日、ヒーローショー、風船。
大人、子供、従業員、着ぐるみ。
あの、たくさんの人々。
あの街並みに、ちゃんと溶け込めていないままだ。
経過。
それから、少し成長しただろうか。屁理屈ばかり覚えているような自分を。
……楊貴妃だろうが、曼陀羅華だろうが、この世にある魔法の薬をどれほど飲もうが……
シェイクスピアの言うように、たまらなく楽しかった昨日までの出来事は
何をしたところで、二度と私のもとに訪れることはないのだろうけれど
…………ねぇ、また遊べませんか? 魔法の薬を飲んだら……
最初のコメントを投稿しよう!