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「やっぱり写真通りの風景が見えた・・・・・・と思う。撮影していただろう大地さんの見ていた風景だったと思う」
「うん・・・・・・そうだよね、そのはずだよね。大地さんが見ていた二人の・・・・・・いや、でも」
「どうした?」
「俺が聞こえてたのは大地さんの声だと思う」
「え?・・・・・・・どういうことだ?」
戸惑った様子の和大を少し不思議そうに正大は見つめている。
和大は思い返すように目を閉じてみるもののやはり結論は同じだったようで
「いや、そういうことじゃないんだ。大地さんの声だけがしているんだよ」
「・・・・・・なんでだ?拓海さんと女性の会話が聞こえないところにいた・・・・・・って距離には感じられないし・・・・・・」
これまでとは違う状況に二人は戸惑っていた。
それぞれが更なる情報を追いかける場合には違う情報が出てくることはあっても、同時に情報を読んでいる時にはそんなズレはなかったからだ。
「少し噛みあわないような気がするのはなぜだ?」
「しかも最初の写真の時とは違う視点ってことになってくる・・・・・・どうして?」
間違いなく大地の情報を読み取っている二人なのにいつもと違うズレに戸惑いを覚えてしまって、二人は同じように腕組みをすると黙ってしまい動き出せないでいた。
そんな時だった大治郎の声がしたのは――
「和大、ちょっと頼みたいことがあるんだが・・・・・・」
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