瑠璃唐綿

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外に出てみると、空は日の入りへと向かってオレンジ色が広がっていた。 暑い空気が纏いつくものの、風によってどこか涼しい空気も感じられるような気がした。 和大は大治郎から預かった郵便物を投函し終えると、自然と足がカフェ・オリエンタリスに向かっていた。 ここはいつでも花がきれいに咲いていた。 その中で爽やかな青色が目を引く。 天色と表現できそうなその青は、星のような形をした花の色だったが、一瞬日中に店の入口に吊り下げた風鈴を思い出させた。 カフェ・オリエンタリスの扉を開けると、いつもと変わらない柔らかい馨の声が和大の耳に届く。 「いらっしゃい」 「こんにちは、馨くん」 「・・・・・・和大?」 半ば条件反射のように馨の声に挨拶を返してきた和大の様子に彼は作業していた手を止めていつもの席に座った和大の前に立った――
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