瑠璃唐綿

17/24
前へ
/24ページ
次へ
「ちょっとスパイシーな香りだね」 「あぁ、ローズマリーだけだとクセが強く感じる場合もあるから、紅茶と合わせてあるんだ」 「うん、すっきりする感じ」 「あぁ、考えを整理する時なんかにはいいと思って・・・・・・」 馨は自分の分のカップを持って和大の隣に移動してくる。 二人はお茶をゆっくり飲んで考えを巡らせているようだった。 ふと馨が両手でカップを持つようにしながら口を開いた。 「そのズレのようなものに何か意味があるのかもしれないな」 「ズレに意味?」 「和大と正大、二人にとってのズレではなく・・・・・・うまく言えないんだけど」 和大は馨の言葉に耳を傾けながらその横顔を見つめていた。 「和大と正大は、二人で一つのことを読み取ってるはず・・・・・・それは半分ずつの情報で補い合っているってことだと思うんだよ、元々さ」 馨が穏やかな声で紡ぐ言葉に導かれるように和大は目を閉じて、今日読み取ったことを思い返す。 「兄ちゃんと俺で半分ずつ・・・・・・もしかして」 そう和大は呟くと、目を開けて馨の方を改めて見ると何度も頷いた。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加