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「ちょっとスパイシーな香りだね」
「あぁ、ローズマリーだけだとクセが強く感じる場合もあるから、紅茶と合わせてあるんだ」
「うん、すっきりする感じ」
「あぁ、考えを整理する時なんかにはいいと思って・・・・・・」
馨は自分の分のカップを持って和大の隣に移動してくる。
二人はお茶をゆっくり飲んで考えを巡らせているようだった。
ふと馨が両手でカップを持つようにしながら口を開いた。
「そのズレのようなものに何か意味があるのかもしれないな」
「ズレに意味?」
「和大と正大、二人にとってのズレではなく・・・・・・うまく言えないんだけど」
和大は馨の言葉に耳を傾けながらその横顔を見つめていた。
「和大と正大は、二人で一つのことを読み取ってるはず・・・・・・それは半分ずつの情報で補い合っているってことだと思うんだよ、元々さ」
馨が穏やかな声で紡ぐ言葉に導かれるように和大は目を閉じて、今日読み取ったことを思い返す。
「兄ちゃんと俺で半分ずつ・・・・・・もしかして」
そう和大は呟くと、目を開けて馨の方を改めて見ると何度も頷いた。
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