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流石にうるさかったのだろう、稲垣要はカッと目を見開き横で未だに大声を出している飯島雅紀を殴り飛ばした。
キャンメルは稲垣要が飯島雅紀を殴り終わるまでニコニコと笑顔で待ってから、二人に説明をし始めた。
その説明の中で、飯島雅紀は混乱しつつも最後までキャンメルの話を聞き「僕が必要とされているなら」と張り切っていた。稲垣要はとても疲れた顔をしながら「拒否権はやっぱりないんだな」と零していた。
二人の反応を見つつもキャンメルは気にせずそのまま話を進めた。
「それではお二人には勇者召喚が行われた世界へ行っていただきます」
蒼依を転生させた時と同じように二人の足元に円形の模様が浮かび、光がその模様からあふれ出し、次第に強くなり二人を飲み込んだ。そして、光が収まると二人がいた場所には誰もいなかった。
他の誰もいなくなり、キャンメルがぽつんと立っているだけとなった。
キャンメルは蒼依を見送った時のように、二人が居た場所を見つめた。しかし、その表情は蒼依の時の優しい表情はなく、無表情に、睨みつけるかのように見ていた。
重い溜息を零し、すぐにキャンメルもそこから姿を消した。
その空間に真っ白でいてうっすらと虹色の光を放つ、一枚の羽根を残して―――・・・
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