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はじまり
「~~♪・・・おっ!いい感じの小石みっけ!」
緑が生い茂る森の中、12歳程の子供が一人で歩いていた。周りに大人がいる気配はない。
子供は足元に落ちていた小石を拾いしばらく見つめると、その小石を手に持ったまま森の中をまた鼻歌を歌いながら歩き出した。
子供は顔の上半分を覆う大きなゴーグルを付けていた。灰色のレンズが鏡のように森の風景を反射し、子供の目を見る事は出来ない。
しばらく森の中を歩くと、気の上から黒い何かが降ってきた。
「キキッ!」
それは尻尾が三つある黒い子猿だっただった。その生き物は右足を引き摺りながら一生懸命歩き、木の陰に入って行き姿は見えなくなった。
子供はその生き物が逃げて行った方を見ながら首を傾げたが、そいつが逃げてきた方から三つの足音と怒鳴り声が聞こえてくると、顔を左へ向けた。
「クソッ!どこ行きやがった!?」
「確かにこっちに来たはずでヤス!」
「あ!兄貴!向こうで黒いのが木に登ろうとしてるぜ!」
ガサガサと草木をかき分けながらボロボロの防具を身に着けた三人組の男が出てきた。
最初に出てきたのは赤茶の髪に同じ色の無精ひげを生やした体の大きな男。
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