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すると、その木の陰からヒョコッと黒い生き物が顔を出し三人組が倒れているのを確認するとバッと木の陰から飛び出し、子供の胸に飛び込んだ。
「捷猿が一匹だけで行動しているなんて珍しいね。君、もしかして家族たちと逸れたのかい?」
三尾の黒い子猿は魔物で捷猿と呼ばれるF級の魔物で、基本的には30匹以上の群れで行動していることが多い。しかし、単体でいることは珍しく、一匹だと思っても大抵近くに群れの仲間が潜んでいたりすることが殆どだ。
因みに、単体だとE級だが群れとなるとD級になり危険度が増す。
子供は捷猿を抱えると右足に手を翳した。すると子供の手より二回りほど大きい橙色の光を放つ丸い模様が現れ、その光が捷猿の足を包み込むように広がった。
光が収まると子供は捷猿を降ろし、「それじゃあ」と小さく手を振りどこかへ歩いて行った。
捷猿は子供の背中を見送ると「キキッ」と鳴き森の奥へ走り去って行った。
―――――お前容赦ないな
突然、木の影から現れた少し特徴的な黒猫のようなものが子供に話しかけた。その猫は普通の猫にしては大きく尖った耳と二本の長く白い歯を生やしていた。
「そんなことなかっただろ!ちゃんと手加減してたし」
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