6人が本棚に入れています
本棚に追加
その反応には流石のアオもブスッとしていたむくれ顔を驚きに変え、門番の間近にあるむさくるしい顔に気圧されていた。
「この森を突っ切ってなんともなかったのか?!」
「・・・あ、あはははは」
門番の一言でアオは何が問題だったのかに気づいたが、もう手遅れだった。うまく誤魔化す言い訳も思いつかず、取り敢えず笑って返すしかなかった。
「この森がどれだけ危険なのか知らないのか!この森にはランクAの鬼馬の群れが生息しているんだぞ!?そんな中をどうやって・・・・・もしかして・・・亜人、か?」
「あ~えっと、その~・・・」
門番はアオを掴んでいた手にギュッと力を入れ、どんどんと顔を近づけてくる。アオは明後日の方向に目を向けながら、門番の顔の距離と「早く答えろ」と言う無言の圧に比例するように背中から滝のように汗を流しだした。
「グにゃ~」
すると、さっきまで大人しく空気になっていた黒猫が甘えるような鳴き声を出しながらアオの足に体をこすりつける。
その猫を見て門番はなるほど、と言うような顔をしてアオから距離を取った。
「使い魔か。使い魔がいるならそうと言え。しかも、鬼馬とは相性がいい黒猫なら納得だ。そりゃこんなところに亜人が居るはずがないか。悪かったな、通っていいぞ」
最初のコメントを投稿しよう!