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門番は一人で勝手に納得すると笑顔を浮かべあっさりと街へ続く扉を開けた。
アオは「ありがとうございま~す」と言って子供と言われたことに突っかかったりせず、大人しく中へ入った。門番も眉をピクッと釣り上げたが何も言わず、そのまま次の者に意識を向けた。
「いや~。危なかった危なかった~」
アオは楽しそうにカラカラと笑いながらそう零した。隣を歩く黒猫はその様子を見ながら疲れた顔でアオを注意した。
―――――本当に危なかったんだが?
「いやぁ~、ほんと助かったわ。ありがとな!それと、黒猫の真似もなかなか上手かったぞ」
気持ちの籠っていない感謝の言葉と、少しからかうように余計なひと言を付けたすアオに黒猫は自然に額に力が入るのを感じながら、アオを睨みあげた。
―――――おまえなぁ・・・
「お!美味そうな食い物発見!」
―――――あ!おい!・・・・・話は最後まで聞けよ・・・
黒猫は先に人ごみの中へ入って行ったアオを追いかける為、ゆっくりと人を避けながら移動し、近くにあった屋台の影の中に入って行った。
「お姉さん♪これとこれ二個ずつ頂戴」
「ウバナとリゴンね。はいどうぞ。二つで14ダルだよ」
「ありがと~」
「毎度あり。また来てね」
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