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ナイフの男がキンキンするような大声を耳元で叫ぶがアオは反応せず、果物をじっと見つめている。
「おい、聞いてんのか!?」
返事をしないアオに苛立ったのか、男がアオの顎にナイフを当て顔を上げさせようとしたがそれと同時に、無反応だったアオが動いた。
まず抱え上げられている腕を押し、体と腕の間にスペースができるとその腕に膝蹴りを入れナイフ男の腕の中からスルリと抜け出した。
そして腕から抜け出すのと同時にナイフを持って居た腕を掴み、腕から抜ける流れで一緒に捻る。捻られた痛みにナイフを離させ、空中で口に銜え男の側頭部に回し蹴りを入れそのまま地面へ叩きつけた。
男は急な動きについて行けず、気が付いたら獲物は子供の口に銜えられ自分は地面に伏している状態になっていた。男は自分が何をされたのか分からず地面に叩きつけられた痛みに顔を歪め、呻くことしかできなかった。
しかし、痛みはすぐに引いたのかすぐに立ち上がり、男は怒りに額に血管を浮かばせながらアオを睨みつけた。
「てっめぇ・・・。ガキのくせに調子に乗りやがって」
「危ない!」
男から離れ、落ちてしまった果物をしょんぼりとしながら拾い上げ、服の裾で拭いていたアオはその男に背を向けていた。
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