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そして、周りの視線を送られている者、アオを見て目を見開いた。
「・・・・・坊主がやったのか?」
まだ混乱から抜けられていないのだろう。半信半疑と言う風にアオに声を掛けた。
そんな視線など気にせずアオは「まあな!」と胸を張って答えた。きっとアオは先ほどの観客のように褒められると思ったのだろう。
アオの考えが分かったのか、アオの影から頭だけを覗かせていた黒猫は「はぁ・・・」と溜息を吐き、またその影へ潜って行った。
「はぁ・・・。そうか。それなら坊主は俺について来い。
おい!お前ら。この男を連れて行っておけ。俺はこの坊主と少し話をしてくる」
オジサンは黒猫と同じような溜息を吐き、後からついて来ていた同じ赤制服の男たちにそう声を掛け、何処かへ歩き出した。
アオもオジサンの後ろ、ではなく隣をついて行く。
「~~~♪」
「・・・はぁ」
暢気に鼻歌を歌いながら隣を歩くアオに、オジサンはさっきまでの陽気な態度が微塵も見当たらない表情で額に指を添え深く、もう一度溜息を吐いた。
その溜息にはこの言葉が声にならずに出て来ていたのだろう。「ばかなのか?」と言う言葉が。そして、オジサンの溜息と同じタイミングでアオの影の中の黒猫も溜息を吐いていた。
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