世界からフェードアウトゥ!

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 残業続きでまだ仕事があると無意識に気を張っていたのか、中井の顔を見て体の力が抜けたのを感じた。ついでに顔からも力が抜けていたようで中井に「お前顔すげえ緩んでるぞ。面白れぇ顔」と顔を指差され笑われた。  そのまま二人で久しぶりにゆっくりした時間を過ごし、そろそろ仕事に戻ろうと入口を向いた時だった。  ガチャン!と大きな音を立てて扉が開いた。  出て来たのは紺のスーツをピシッと着こなした40代ほどの男とシンプルな黒のスーツにサングラスをかけ、左耳に黒いイヤホンのようなものを付けた男が立っていた。 「しゃ、社長?!」  どこかからそんな声が聞こえてきた。しかし、その男はその声が聞こえていないかのようにスルーを決め込み、誰かを探しているのか男の突然の登場にざわめく屋上を端からゆっくりと見まわした。  そして目的の者を見つけたのかサングラスの男を後ろに従え、真っ直ぐにこちらへ歩いてくる。  (・・・・・ん?え?なんでこっちへ来るんだ?) 「突然だが、君にはこの会社を辞めて私の弟の学園に教師として転職してもらうことになった。 明日からその学園の教師専用の寮に移ってもらう。ここの者にはもう伝えてあるから、君は今から引っ越しの準備をしなさい。話しは以上だ。」  男は俺に拒否権はないと言うように、話が終わるとすぐに出口へ足を向けた。     
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