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この男―――飯島 史雄は日本でもほとんどの人が聞いたことがあるだろう有名企業、Familiaの九代目社長だ。
よくテレビに出ている有名人で、最近ではニュース番組の政治関係の者に出ていてわかりやすい解説と一般の人と同じ目線になって考える姿勢が人気となっている。会社の中でも頼りになって優しいと良い評判をよく耳にするくらいだった。
そんなすごい人が急に来たと思ったら、急に理不尽なことを言われたんだ。誰だって混乱するだろう。
驚きのあまり何も言えないでいると、隣で固まっていた中井が一歩前へ進み出ると飯島史雄を呼び止めた。
「待ってください！」
「･･･なんだい？」
飯島史雄はその呼びかけに足を止め中井を真っ直ぐ見つめる。
「此奴の意見を聞かずにそんなことを決めるのは可笑しいじゃないですか！なんで急にそんなことを決められなければいけないんですか？！」
「君には関係のないことだと思うのだが？それにこれは決定事項だ。誰の意見も聞いてはいない」
「っんだと！！」
飯島史雄の平然とした態度に中井は襟を掴みあげた。飯島史雄は無表情に中井を見下ろし、中井の手首を掴んだ。
二人の険悪なムードに流石にまずいと気が付き二人を止めに声を掛けながら近づく。
「な、中井取り敢えず落ち着―――」
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