知らない天井だ・・・

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知らない天井だ・・・

 チクッと一瞬痛みが走ったかと思うと何かに引っ張られたような感覚がし、目が覚めた。少しだけ違和感があったような気がしたが、一瞬だけだったため気のせいだろうと思うことにした。  少しの間何も考えずジッとしていると、ふと今いる場所がどこなのかが気になり始めた。そしてゆっくりと目を開ける。  その時に気が付いた。自分は目を閉じていたのだと。そして、手と足があるのだということにも気が付いた。当たり前なことの筈なのに、何故かこの時はとても驚いた。  自分が居たのは真っ白な空間だった。  そして自分はそこに立っていた。  足の裏には地面を踏んでいる感覚があり、手も握ればそのままの感覚と温度が伝わってきた。  周りには何もなく、ただ真っ白な世界が続いているだけだった。  このままじっとしていても仕方がないと思い、取り敢えず(はし)に着くまで真っ直ぐ歩いてみることにした。  何が見えるわけでもないが周りをきょろきょろと見まわし、遊園地に来た子供のように何もないはずの空間を嬉々として見ていた。     
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