夢見ガチノ白昼夢

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 ……はずなのに。シャワーを浴び終えた僕は、髪も乾かさず、無精髭を生やしたまま、上半身裸のままで、バスルームを出て来た。ボクサーパンツ一枚で、バスタオルで濡れた頭を掻きむしる。タオルを首に掛けると、冷蔵庫を開け、紙パックの牛乳をグラスに注がずに、そのまま口を付けて飲んだ。  ありえないと、僕は自分の行動に憤慨した。彼は、口元を手の甲で拭うと、服も着ずに、そのままリビングのソファに横になり、テレビをザッピングし始めた。 「どういうことだ?」  声に出してみても、彼に届いているわけでもなく、混乱が渦を巻くように、頭の中に広がっていった。魂の抜けた僕の体は伽藍洞のように、空虚な眼差しをテレビ画面に向けていた。会社はどうするんだ? このままだと無断欠勤か? と頭を悩ませていた所で、彼が見ていたテレビ番組から、今日が日曜であることを思い出した。平日と休日の感覚も失くしていたとは、やっぱり僕は相当疲れが溜まっているのだ。  どう頑張ってみても、元の器に戻れない僕は、仕方なく暫く自分の体を見守ることにした。昼近くまで、彼はソファでゴロゴロしていたが、やがてローテーブルに置かれた携帯電話からメールの通知音が鳴ると、画面を確認して、腰を上げた。
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