夢見ガチノ白昼夢

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 彼はJR新宿駅の東口を出て、歌舞伎町方面の出口に向かった。昼下がりの休日、駅も街も行き交う人で溢れている。地上に出ると、大きな看板に沿って歩を進める。ビジョンを見上げながら、雑踏の中をアルタ前にある小さな広場で立ち止まった。携帯電話を覗き込むような仕草をしたかと思ったら、程なくして、大学生位の女が、後ろから彼に声を掛けた。二人は一言二言会話をしたのちに、歩き出す。女は親しげに僕の体に腕を絡ませている。無表情な僕に、満面の笑みを浮かべながら。  その女は誰なんだ? 女の顔に見覚えはなかった。ロングヘアーにふわふわした柔らかそうな生地の花柄ワンピース。そこら辺のアイドルグループにいそうな可愛らしい顔をしている。会社には、あんな女らしい奴はいないはずだ。  彼らは吸い寄せられるように建物の中に入って行った。どうやら映画を見るらしい。休日、かわいい彼女とデート、リア充じゃないか。羨ましい限りだ。映画館には入らずに、建物の入り口付近の階段に腰を下ろした。時折、人々が僕の体を通り抜ける。幽体のような僕の意識は、他の誰かの邪魔すらならない。
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