1人が本棚に入れています
本棚に追加
テーブルに置かれた僕の携帯電話は18:30を表示している。いつもの日曜日だったら、午前中は溜まった家事をして、昼過ぎにカフェに出掛けて読書をし、夕方になったら、商店街を散策しながら、夕飯の買い物をしていたはずだ。今頃は料理を作りながら、テレビアニメを流して、明日からまた仕事が始まる日曜の寂しさを、ベランダ越しに沈む夕日を眺めながら物思いに耽っているだろう。平凡、けれど平和な日曜だ。
支払いは女が済ませた。傍から見たら僕達の関係は親子に見えるかもしれない。大学生くらいに見える童顔の息子と、若作りをした過保護な母親。母親がぴったりとくっついているから、マザコンだと思われているかもしれない。通りに出ると、辺りはすっかり暗くなっていた。そのまま2人は道玄坂方面に歩き出した。
雑踏の中を歩く。人が多さに酔いそうになる。ちぐはぐの親子に見える僕達に、当然、通行人は見向きもしない。僕らは道玄坂の中頃まで上って来ると、メイン通りを横道に入って行った。
悪い予感が現実味を帯びて来た。その道の先にはラブホテルが点在している。体を売っているというのか? 僕は怒りを通り越して、呆れていた。そして、意識の僕はある結論を導き出した。
最初のコメントを投稿しよう!