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今はだめだ、と隼人に向かって声を上げようとしたら、サトミンがすっくと立ち上がった。
「おい、勝手なことするな」
制止もむなしく、サトミンはドアを開けてしまった。サトミンの姿を見た隼人は目を丸くして驚いた。
「……なんで、すずちゃんが光太郎の家にいるんだ?」
サトミン……里見すずは顔色1つ変えず、にっこりと笑って答えた。
「勉強を教えてもらっていたの。ほら、堀田先生って堀田くんのいとこなんでしょう? だからお邪魔してもいいかなと思って」
ぼくの担当教科は国語だ。なのに何を教わろうというのか。しかし隼人は無邪気に、そっかぁ、とデレッと笑っていた。
「先生。まだわからないので、また来ます」
そう言ってぼくの半分の恋人はこちらを見たが、表情からは何を考えているのかわからなかった。隼人が彼女をミステリアスと評したのは、あながち間違いでもないようだ。
【ハーフ・ラヴァーズ】
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