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いとこの隼人は学校の階段の踊り場にある鏡を覗きこみ、ワックスでセットした茶髪の毛先を遊ばせながら言った。
「今日はすずちゃんとデートなんだ~。やー、やっぱり年上っていいなー。大人の魅力っつーの? たまらん」
「年上って大げさな。たった1才違いだろ。ほぼ同い年じゃないか」
「全然違うよ。クラスの女子みたいにうるさくねーし、ミステリアスクールビューティー」
すずちゃんというのは最近できた、隼人の彼女だ。同じ高校の3年生の彼女は隼人の彼女にしてはめずらしく化粧っけもなく、地味なタイプだった。
「じゃあお前の分の夕飯、もらうぞ」
隼人は、ご自由に、と笑った。ぼくは一人暮らしなのだけれど、隼人の実家の近くに住んでいるので、隼人のお母さんはちょこちょこおかずをわけてくれる。
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