第1章

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隼人はだらしなくやに下がった顔のまま、歯の隙間のごみを取っていた。 「そういえば光太郎の彼女、サトミンだっけ。どんな子なのー? あんまり光太郎の彼女の話、聞いたことないよな」 「クソガキ」 端的に答えると、隼人は吹き出してゲラゲラ笑った。 「そかそか。光太郎の彼女、結構年下って言ってたよな」 どんな、と言われても困る。短気ですぐヒステリーを起こすし、感情的で、衝動的な行動も多い。 「もう別れると思うよ。今までも何度か喧嘩はしてきたけど、今回はもう修復不可能だ」 自分から聞いておいて興味をなくしたのか、隼人はそっけなく、そっかぁ、と気のない返事をした。 最後の授業が終わってすぐ、廊下を走る足音が聞こえてきた。びゅん、と駆け抜けて行ったのは隼人だ。後ろから担任の先生に、走るな、と怒鳴られていた。彼女のすずちゃんを迎えに3年の教室に行くつもりなのだう。
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