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隼人を睨むが、隼人はちっとも悪びれなかった。
「だって話したいって言ってんだから。光太郎。相手は年下だろ? 優しくしてやれよ」
イラついて、ぼくは隼人を無視して自分の教室に戻った。隼人はなにも知らないから、そんなことを言うんだ。
結局放課後、ぼくの家で話すことになってしまった。サトミンはぼくの家に上がると、所在無さそうに小さくなった。制服のまま、正座で畳の上に座る。
「光太郎、ごめんね。まさかそんなに怒ると思わなかった。わたしがすきなのは光太郎だけなのよ。本当よ」
サトミンは泣いた。瞳から大粒の涙が溢れて、頬をつたって流れ出す。しかしその涙に心を動かされることはなくて、もうぼくの中の恋心は死んでしまったのだと知った。
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