第1章

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ぼくはティッシュを箱ごと渡した。サトミンはティッシュを数枚取り、鼻水を拭いた。 「光太郎……すき」 「もうぼくはすきじゃない。君のしたことを許せない」 そう素直に告げると、サトミンの目つきが怖くなった。ピリピリした空気の中、家のドアがノックされた。外から声が聞こえる。 「おーい。光太郎~。母ちゃんが光太郎に煮物持ってけって」 ゴンゴン、と隼人は激しくノックをする。あいつ、自分で今日ぼくが彼女と話し合いするようにしたくせに、もう忘れたのか。
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