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「暗い夢」サイトシリーズ③ 「RF」 - 2
冒頭から7年前。
3月最終週の土曜日の夜。
伊藤ゆうなの家庭は、運送ドライバーの父と共働きでIT企業の契約社員の母、
そして3つ年上の姉の4人家族の構成だった。
都市近郊に一軒家を借りて、中流家庭とは言わないがつつましく暮らしていた。
夫婦共働きのため父も母も家を空けている時間が多く、ゆうなと姉こずえが姉妹で家事手伝いをしており、掃除・洗濯・炊事といった家事全般も忙しい両親の代わりにやっていた。そして、二人ともそれなりにこなせるようになっていた。
花見シーズンということもあり、明日は久しぶりに父と母が両方とも休みをとることができたため父の提案で花見をすることになった。
今は花見のための料理の準備を姉妹でやっているところだ。
もうすぐ母が帰ってくる。
「玉子焼きの味付けはどうする?お父さんは甘いの好きだけど、お母さんは苦手でしょ?」
「両方作ろうよ。」
「うーん、じゃあ玉子焼きの中に具を入れた方と甘い味付けのプレーンの方をつくろうか。」
「オムレツみたいだね。」
「そっか。じゃあ、お父さんは玉子焼きにしてお母さんは洋食好きだから野菜入れたオムレツ風にしようか。」
「ハハハ、それじゃ、ただのオムレツだよ。」
「フフフ」
「次は唐揚げ作るから冷蔵庫から下味つけたお肉出して。あと冷凍庫からお父さんの好きなフライドポテトの袋も」
「はーい。」
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