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――こんなふうに壊れてしまうなんて。
幼いころから、璃子と競うようにしてチカを可愛がり、彼女からつらいことを遠ざけ、とことん甘やかしてきた。
だから、チカの心が弱かったとしても、彼女のせいではない。
「俺のせいだ」
和真はしぼり出すように言うと、チカの体をぎゅっと強く抱きしめて泣いた。
「ごめん、本当にごめん。俺はずっとチカが好きだったのに……」
チカはなにも答えない。
「チカ、戻って来いよ! どうか……頼むから」
和真はチカの肩をゆさぶり、必死になって訴えた。
だが、彼女の目は不思議そうに和真を見つめているばかりだった。
「そんなに泣かないで、和真」
彼女は和真にやさしくキスして言った。
「チカが死んで悲しいのは私も同じ。でも、和真には私がいるでしょう?」
和真はもうなにも言えなくなって、されるがままにチカの胸に抱かれた。
「愛してるよ、和真」
「俺も……愛してるよ」
「チカの分まで好きでいてあげるね」
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