4/14
前へ
/34ページ
次へ
そして同時に、ほぼ条件反射として口を突いて、この言葉が出た。 「何か、良い事あった?」 そう。 母のご機嫌の源なんて、大抵こんなもん。 しかもその大半で、どこかに父が絡んでいる。 そして、案の定、 「今度の定休日にね、ケイさんと映画に行くことにしたの」 夫婦円満、万歳! 夕飯予算は、この半額で上げてやるぜ。 「フフッ」と少女のように笑って、いそいそお茶を運んでいく母の背中に 小さく両手を上げて見送る。 そして早くも俺は、思いがけない臨時収入で何をしようかと算段を始めた。 だが、せっかく昼飯当番から解放されたのだ。 まずは、腹ごしらえだろう。 しかし、それをここで作ろうなどとは微塵も思わない。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加