5 味は異なもの拘るもの(つづき)

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たった一歩であろうとも、人生を歩むということは 目の前の選択肢の有無に関わらず、進むか留まるかの選択から始まるもの。 そして、誰も他人の人生を歩むことが出来ない以上、 自分の未来は自分だけが選べるものだ。 「だからこそ迷うんだと思うし、 僕みたいな立場が、世に存在も、し得るんだと思います」 しみじみとした口調で、そう言った「マダム」の横顔を俺はじっと見つめた。 「でも、それだからこそ焦ってはいけない。 そして、何よりも自分に素直であること」 彼の視線が、ゆっくりと俺に向けられた。 「これが、僕が僕の仕事を通じて沢山の人から学ばせて頂いた共通の事です」 焦らず、きちんと己と向き合い、更に俯瞰して己を知れば 心の声が聞けるようになる。 その声には、勇気と自信を持って素直であるべき。 それが、人生の一歩を進める選択の鍵。
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