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五月の蠅。
なぜか、そんな事が頭を巡り、俺は呟く。
「うるさい……」
壁に掛かった時計に目を向ければ、時刻は朝の10時過ぎ。
正直、このところ平均5~6時間程度の睡眠で起こされているだけに、
今日くらいは、もう少し寝ていたい。
しかし、今なお続く嬉しげな声を聴きつつ、
それでも8時間以上眠れたことに妥協して
俺は、大きな欠伸をしながらベッドから降りた。
着替えをしてカーテンを開けると、なんだか夏かと思うほど
日差しが眩しかった。
そして、そんな日差しに負けないほど、
下からの甲高い歓声が脳髄の芯まで響く。
俺は、ぼうっとする頭をガッチンガッチン鉄ハンマーで叩かれているような
感覚を味わいつつ、やっぱり、ぼんやり階段を降りて行った。
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