確信犯 全1章

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ネットの安全面に抵触しているはずだけれど、なんか昔の「NHKスペシャル」が送られてきた。 なんだか知らないけれど、脳の安定装置のネジを緩めると、宗教的とか芸術的とかの体験をする云々と言っていたと思う。 2008年だったと思うけれど、俺は入院生活を送っていて、オフクロに散髪に連れ出してもらっていた。(どうして俺が、外出するって分かったんだろな?)俺の胸に、「私は狂人です」、と言わんやの名札でも付けているように、どこの理容店に行っても、判で押したように「今日は出来ません」と、薄らい笑いを浮かべて拒絶された。オフクロも困った表情を隠せなかった。 クルマが殺気立っているように押し寄せ、攻撃的に走ってみせる。 本当にどこの理容店も、判で押したように、なのである。通行人は嘲笑し、クルマは走る。分別もへったくれも存在しなかった。 服のゴミを払って、ズボンに腕を突っ込んでポージングをとってやると、すぐさま通行人はなくなり、クルマの通りもピッタリと止む。 病院の戻ってやると、今度は主治医が仁王立ちのように玄関付近にいて、さっきの俺のポージングのパロディをやってみせる。俺に見せつけている。 《おまえ、なかなか機転がきくじゃないか》 そういう関心ごとである。 《この医者、病理のなんたるかなんぞ、関係ないんだ》 人非人だ。不当拘束だ。主権侵害だ。なにが治療だ、嘘をつけ! 関心ごとは病院ビジネスの算盤勘定ぐらいだろう。 《俺の状況のなんたるかを知っているじゃないか。なんの名目でこれ以上拘束されなきゃならないんだ》 主治医はシラーとしていた。たいした京都大学の教授だよ。確信犯なんだよな。自分じゃ温厚な精神科医と認知しているらしいけれど、鬼か悪魔じゃねえか。 その後も、入院生活は続いた。もちろん入院費は払わされるのである。こいつら詐欺師でもあるのだ。 俺に原因があることであるのか?。
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