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俺の言葉に、女はむっとしたように眉根を寄せた。
「……外面だけで勝手に夢見といて、文句言わないでよね! そんなんだから、志織ちゃんに振られんのよ!」
………え?
ソンナンダカラ シオリチャンニ フラレンノヨ??
たっぷり30秒ほど思考停止した俺は、ゲロまみれの服を洗う手を止め、女に目を向けた。
「………えっ。なんで志織のこと知ってんの!? まさか、お前、志織の友だちか!?」
「はぁ? んなわけないでしょ。全部自分で話したんじゃないの」
「いっ、いつ!?」
「さっき電車の中でくっちゃべってたじゃない。7年も付き合ってプロポーズ目前だった志織ちゃんに振られちゃったんでしょ?」
「なっ……なっ……」
「でも幸運にも絶世の美女に一目惚れされて、愛の告白されて、幸福な家庭を築くんでしょ?」
絶世の美女は、にやりと笑った。
俺はどうやら、自覚はないが、だいぶ酔ってたらしい………。
なんと、思考が全て口に出ていたのだ!
ゲロ女に壁ドンされながら考えていた内容が全て筒抜けだったなんて………。
は、恥ずかしすぎる!!
穴があったら入りたい!!
俺の狼狽をよそに、女は余裕の笑みだ。
「このあたしに一目惚れされようだなんてねぇ、百年早いのよ!」
くーっ、ムカつく!!
「誰がお前みたいなガサツ泥酔ゲロ女! こっちから願い下げだっつーの!」
俺は怒りに任せて、女にばしゃりと水を引っ掛けてやった。
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