夜を待ちわびて

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「彼女、本当に感謝してた。あの時、そう言ってもらってなかったら、今、どうなっているかわからないって。それくらいその言葉に救われて、今も支えにしているそうよ」 「そうですか」 そこから先が続けられなかった。 涙が頬を伝っていた。 ついさっきまで流していた涙とは明らかに違う温度の涙が止まることなく頬を流れ続けていた。 「泣いてるの?」 優しい声が受話器越しに響く。 「すみません、感動しちゃって」 受話器の向こうで店長がほほ笑んだような気がした。 「言葉って本当にすごいわよね。時に人をこんなにも救うんだから」 「そうですよね」 言いながら、また涙が流れた。 小学校の時に初めて聞いた時から頭にこびりつき、長年祈をうちのめし続けてきた言葉も、別の誰かにとっては救いになることがある。 誰かの救いになったのなら、打ちのめされ続けたことも決して無駄ではない。 「ありがとうございます、本当に」 お礼を言いに来てくれた17歳のミコちゃんと、それを伝えてくれた店長に、祈は深々と頭を下げた。
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