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「はるかさんって、確か」
「皆まで言わないで良いからっ。それ以上はご勘弁を」
今日も数学の特別補習に出てきた後だったりする。
「あれってさー、結構問題だったりするんだよ」
「文字が汚くて読めないとかですか」
あいかわらず美帆は本から目を離さない。
「…まあ、読めないことには始まらないか。でも、美帆ってときどきすごいよね」
「そうですか」
「もっと別の何かとかを考えない?フツー」
「たとえば?」
「そりゃあ、ね。ホラ、十七歳の乙女なら、さ。ねぇ?」
「私はまだ十六ですけど」
「まあ、まずはペン字から。読んでもらえないことには始まらないよね。
「綺麗な字の方がポイントは高いですよね」
美帆は顔を上げた。申し訳なさそうに続ける。
「分かってたんですけど…個人情報や思想の問題ですよね。ストーカーとか」
「行きつくところは、そういうところかもね。本ってさ、基本的に好きな本しか読まないから、モロに出ちゃうんだよ。たまーにドラマなんかで刑事が訪ねてきて見せろって言って、あっさり司書が履歴見せたりしてるシーンがあるけど…あれは絶対にないんだ。美帆だって誰かに見られたら嫌でしょ?」
「あまり想像したことないですけど、気持ちは良くないですね」
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