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最近彼女ができた。
普段はツンツンしているけど、たまに見せるデレの一面がある。
そんな彼女がたまらなく可愛い。
ツンなところも好きだけど、デレるところも見てみたい。
ずっとそんなことばかり考えていた。
ある夜、彼女からあるメールが届いた。それもなぜか二通も。
『大変! なんかあたしが二人になっちゃったんだけど!』
『どうしよう、なんかあたしが二人になってるよ~』
内容はどちらも同じだが、文面の雰囲気がそれぞれ違う。
というか、いまいち状況がつかめない内容だ。
詳しい話はまた明日、ということでそのときは収まったが、それからあんなことになるなんて、全く想像していなかった。
これが、一か月ほど前の出来事だった――。
「二人ともおはよう」
「ふんっ、おはよ……」
「あ、おはよーっ」
茶髪でウェーブのかかったセミロングの髪が風に揺れる。
一人は無駄にツンツンしていて、もう一人はテンション高め。
ずいぶんと温度差のある返事だ。
無論もう慣れている。
朝。俺は彼女たちと待ち合わせをして、それから登校する。
彼女たちとは、俺が今付き合っている子のことだ。
この説明だけだとすごい誤解を受けてしまいそうだ。
簡単に説明するなら、彼女が『二人に分かれてしまった』のだ。
見た目は全く一緒なのに、性格は真逆。
ツンが多めな方と、デレが多めな方。どちらにもツンとデレはあるが、その比率が真逆になっている。
初めは目を疑ったが、今ではもう慣れたものだ。
周りの知り合いなんかもすでにこの状況を受け入れている。
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