ツンデレカノジョ。

2/16
前へ
/16ページ
次へ
 最近彼女ができた。  普段はツンツンしているけど、たまに見せるデレの一面がある。  そんな彼女がたまらなく可愛い。  ツンなところも好きだけど、デレるところも見てみたい。  ずっとそんなことばかり考えていた。  ある夜、彼女からあるメールが届いた。それもなぜか二通も。 『大変! なんかあたしが二人になっちゃったんだけど!』 『どうしよう、なんかあたしが二人になってるよ~』  内容はどちらも同じだが、文面の雰囲気がそれぞれ違う。  というか、いまいち状況がつかめない内容だ。  詳しい話はまた明日、ということでそのときは収まったが、それからあんなことになるなんて、全く想像していなかった。  これが、一か月ほど前の出来事だった――。 「二人ともおはよう」 「ふんっ、おはよ……」 「あ、おはよーっ」  茶髪でウェーブのかかったセミロングの髪が風に揺れる。  一人は無駄にツンツンしていて、もう一人はテンション高め。  ずいぶんと温度差のある返事だ。  無論もう慣れている。  朝。俺は彼女たちと待ち合わせをして、それから登校する。  彼女たちとは、俺が今付き合っている子のことだ。  この説明だけだとすごい誤解を受けてしまいそうだ。  簡単に説明するなら、彼女が『二人に分かれてしまった』のだ。  見た目は全く一緒なのに、性格は真逆。  ツンが多めな方と、デレが多めな方。どちらにもツンとデレはあるが、その比率が真逆になっている。  初めは目を疑ったが、今ではもう慣れたものだ。  周りの知り合いなんかもすでにこの状況を受け入れている。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加