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放課後。帰り道。
日の落ちかけた帰り道を三人で歩く。
「あーあ、それにしてもいつ元に戻るんだろうね、あたしたち」
何の気なしといった様子で、デレ子がそんなことを言う。
「うーん……」
正直全くわからない。
なんで、彼女のツンとデレは二人に分かれてしまったのだろう。
「そのうち勝手に戻るんじゃない。ほっとけばいいのよ」
「いやいや、自分のことなのにそれはどうかと……」
苦笑いを浮かべる俺。
どうやったら彼女は元に戻るのだろう。
元に戻ったらまた前のツンツンときどきデレの彼女に戻るのだろうか。
わからないことだらけだ。
「あんたは――」
ツン子が急に口を開く。
「あんたは、あたしたちにどうなって欲しいの?」
「え?」
「また前のあたしの戻って欲しいの? それとも、デレ子みたいに本音をたくさんいうあたしの方がいいの?」
そういう彼女の表情は、いつになく真剣な気がした。
「えっと、それは……」
返事に困った。
俺はどっちの彼女も好きだ。だけど、本音を言ってくれる彼女がいてくれると色々と助かるのは事実。ツンな彼女の代わりに本当の気持ちを教えてくれているのだから。
かといって、最終的にはまた一人の彼女として元に戻ることになるだろう。
そのとき俺はいったい、彼女に何を求めるのだろう。
俺は結局、答えを出すことができなかった。
「ねぇ、ツン子」
ベットで横になったデレ子と、机の椅子に腰かけるあたし。
ここはあたしたちが使っていた部屋。元は一人だったから、部屋には一人分のものしかない。
二人に分かれても元は同じ。だったらと、今も二人で一つの部屋を使っていた。
「あたしたちって、また一人に戻ったらどうなっちゃうんだろうね。やっぱりどっちかの人格が消えるのかな?」
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