21xx年のある日の事…

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「ありがとうございます。でも僕は10年ぶりに逢えた美緒を独り占めしておきたいのです。もしでしたら彼女のお兄さんに声を掛けてみましょうか?お兄さんも美緒に負けないスキルを持っていますよ。最近になって美緒の遺品の中から美緒を見つけだしカラの女性型アンドロイドにインストールしてくれたのも彼ですから」 「なんと!美緒さんにそんなお兄さんがいるとは!では今度是非会わせてくれ!」 そう言ってホクホクと去っていく所長の背中を見送ると、坂田は再び愛妻弁当を食べ始めた。 「おいしいなぁ…」 坂田は穏やかな青空を見上げ、美緒が作ってくれた焦げた卵焼きと一緒に奇跡のような幸せを噛み締める。 __美緒、僕のところに帰って来てくれてありがとう。 諦めるしかなかった初恋が君のおかげで息を吹き返したんだ。 これから先、僕らの事を色々言う人はいるかもしれない。 だけどいいんだ。 美緒がAIだってかまわない。 僕の中のチューリングテストでは、美緒はぶっちぎりで合格なのだから。 了
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