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とある企業の研究所。
ここでは主にAIの研究開発と、個人所有のAIのチューリングテストも行っていた。
これだけアンドロイドが普及した今、ネット上には気軽に判定できるチューリングテストサイトが溢れかえっていた。
だがオーナーの中には、時間をかけて少しずつカスタマイズした(オーナーは『育てた』と言うのだが)大切なアンドロイドがどれだけ人間に近いのか、高いテスト費用を支払っても正確に判定してほしいという人も少なくない。
それゆえ余所行きのきれいな服を着せてもらったアンドロイドとオーナーである人間が研究所内を仲良く歩く姿がよく見かけられた。
††
コンコンコンコン!
せわしないノックの音のすぐ後に、慌てた様子の研究所職員が所長室に入ってきた。
「所長! 失礼します! 大変です! どうしましょう!」
「なんだね、騒々しい。何が大変なのだね? 入ってくる早々『どうしましょう』と言われても何の事だかわからんのに返答はできないよ」
「大変失礼いたしました! 今、予約の無いチューリングテスト希望者が受付に来ていまして、どうしても今日テストをしてくれと騒いでいるのです!」
「予約の無い客が来た? なんだそんな事か。融通をきかせてテストを受けさせてやればいいじゃないか。それとも今日は予約でいっぱいなのかね?」
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