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「いえ、予約にはまだ余裕があります。ですが今受付で騒いでいるのはオーナーではありません。というか、オーナーがいないのです。AI搭載のアンドロイドしかいません!」
「アンドロイドが? オーナーも無しに単独で来ていると言うのか? それで? 自分にテストを受けさせろと?」
「そうです! しかもテストの判定者には、うちの職員の坂田を付けろと指名しています。坂田が何か事情を知っているのかもしれないので、今呼び出してはいるのですが……」
「ふむ……アンドロイドが単独で行動する事はあるが、大抵は買い物などオーナーの命令でだ。オーナーがテストを受けさせたいのなら一緒にいないのは変だな」
「そうなんです。女性型のアンドロイドで腕の識別コードを読み取っても『オーナー不明』と出てきます。それと少々バグが生じているようでして……」
「というと?」
「暴力的な行動はとりませんが、その…えらく言葉使いが悪いです。まったくAIらしくありません…」
††
『ちょっと!いつまで待たせるの?早くチューリングテスト始めてよ!アタシ待ちくたびれちゃったんですけどー!だからって坂田以外にアタシの脳ミソ覗かせる気はないから!あっ!それからテストにいくらかかるか知らないけど、アタシ、お金持ってないから!そういうのぜーんぶ坂田に請求してよね!』
「あの……これ本当にAIが喋っているんですか?」
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