21xx年のある日の事…

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AI:あ、ちょっと!なに黙り込んでるの?そーゆートコ昔とぜんぜん変ってない!坂田ってさー、アタシにちょっと何か言われるとすぐに黙っちゃうよねぇ SA:……あのさ、君さっきから“昔”って言うけど僕と会った事があるの? AI:あるよ SA:いつ?ネットワーク上?それともリアル? AI:リアル。ずっと一緒だった、アタシが遠くへ行っちゃうまでは SA:遠くへ??ますますわからないな。 AI:ねぇ、待って……それ本気で言ってるの? SA:ああ、申し訳ないけど。 AI:うそ…もっとよく思い出してよ 坂田は一旦キーボードから手を離すと、カラカラに乾いた喉をうるおす為、ペットボトルの水をぐいっと飲んだ。 __このAIは現実世界で僕と会った事があるというが、それが誰なのかまったくわからない。 名前も教えてくれないし、本来の顔も声もわからないのだから無理もないだろう。 それにしても、この言葉使い…… 正規の会社で作られたAIならこれはあり得ないプログラムだ。 もし、あんなのが流通したら、ユーザーからクレームが入るだろう。 だけど…なんというか…不思議な事に僕はそんなに嫌じゃない。 それどころか、どこか懐かしいような空気感がある。異質な話し方に単独行動…… もしかしてあれは、どこかの誰かが個人的に作った自作AIではないだろうか?     
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