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僕の知り合いの誰かの情報をベースにプログラミングされていると仮定すれば、僕を知っていても不思議ではない。
でもそれは誰なんだ?
製作者のスキルは相当高いぞ…
あんなに感情剥き出しの会話ができるプログラムを組める知り合いはいないはずだ……
いや……昔1人いたけど今はもういない、が正しいか。
フル回転でAIの正体を模索している坂田の視界に、苛立ったような短い文が新たに表示されるのが目に入った。
AI:ちょっと!坂田、聞いてる?
SA:ああ、ごめん。聞いてるよ。
AI:まだ思い出せなの?ひどいよぉ……坂田とアタシは両想いじゃなかったの?
ゴホッゴホッ!!
突然の“両想い”という甘酸っぱいフレーズに坂田をはじめ後ろで見守っていた所長達も一斉にむせた。
いい大人になってから久しく聞かなくなった“両想い”
こんな言葉を口にしていたのは中学生までだったのではないのだろうか?
と、思わず口元が緩んだ次の瞬間、坂田の記憶の欠片がゆっくりと、だが確実に浮かび上がり溢れだし、やがてそれらはある1人の女の子の姿へと形を変えていった。
中学……同級生……男勝りな女の子……天才的な機械オタク…病気…入院……転校……メール……告白……両想い……絶望……
__そうだ…男の子みたいな性格で、姫様のように美しい彼女が僕に教えてくれたんだ。
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