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3
戸木亮平が佐崎翔矢と付き合っていたのは、中学二年生から、高校二年生の夏休みまでだ。
初めて手を繋いだのは、中学二年生のとき。
初めてキスをしたのは、中学三年生のとき。
初めて体を重ねたのは、高校一年生のとき――忘れもしない、高校一年生の、夏休みのことだ。
「亮ちゃん、大丈夫? 痛くない?」
翔矢の両親が一泊二日の旅行に出かけたその日、亮平は翔矢の家へ泊まりに行った。
そして、そこで初めて、一つになった。
「お前、さっきからずっとそればっか……!」
狭いベッドの上。折り重なるような体勢で、心配そうな表情を浮かべる翔矢を見上げながら、亮平は掠れた声で言う。
「もう聞き飽きた……!」
「だって……」
「そんな心配いいから……早く……」
正直亮平は、一つになることがこれだけ痛いものだとは思っていなかった。いくら解されたとはいえ、男同士で使うそこは、元々受け入れるための器官ではないのだ。痛いし、苦しい。
けれどだからといって、嫌だとは思わなかった。むしろ、早く彼を感じたかった。
続きを促すためキスをすれば、驚いたように翔矢が息を呑む。同時に亮平の中を満たすソレが動いた。
「んっ、あっ」
引き抜いたかと思えば、貫かれる。貫かれたと思ったら引き抜かれる。それの繰り返し。固いそれに壁面を擦られる度、亮平の体は布団の上で跳ね、唇から嬌声が漏れた。
「んっ、ぁッ……」
「りょ、亮ちゃ……! 痛かったら、言ってね……?」
「だか、ら、……っァ……」
腰を動かしながら、それでも亮平の体の心配は忘れない。そんな翔矢の優しさに、亮平の胸の奥が疼く。
元々翔矢は亮平に優しかった。けれど恋人になると、その優しさは格段に跳ね上がった。それはくすぐったくて、でもすごく嬉しくて。
部屋の明かりを消した暗闇の中で、無我夢中で翔矢の背中に腕を回したことを、亮平は今でも覚えている。
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