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 大事にされていた。同時に自分も、彼を大事にしたいと思った。  友愛が恋に変わるのは早かった。恥ずかしくて直接的なことは伝えられなかったけれど、長い付き合いだったせいか、何も言わなくても分かってくれていた。  その関係が心地よかった。ずっと一緒にいたいと思った。いられると思っていた。  ――けれど終わりは、呆気なかった。  終わりは、たった一通のメールだった。  声を聞くことも、顔を見ることもなかった。  高校二年生の夏休み。翔矢からの連絡がほとんどなくなった。そして夏休みが明けたとき、亮平は翔矢が引っ越したことを知った。  知ってすぐ、急いで翔矢の家へ行った。誰もいない空き家の前で、呆然としていた。  するとそれを見計らったように、メールが届いた。 『別れよう』  たった、一言。  電話は繋がらなかった。メールも返事はなかった。  呆気なく、初めての恋は終わった。  それが今から、四年前の話だ。 * * *
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