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「ご馳走様でした。」
両手を併せてその言葉を吐き出すと、節子さんは空いた食器をさげてくれる。
その後に同じようにコーヒーを出してくれる。
上膳、据膳。
家事に関して俺は何かを手伝ったことは一度もない。
まず、キッチンに足を踏み入れたことがない。
それは聖時にしても同じことだが……
俺とは違って一人暮らしも長い。
自分がしなけりゃ何もならないなら……するようになるんだろうか……
「何だよ?」
ボーッと聖時の顔を見つめていた。
「……いや、一人暮らしが長いと何でも出来るようになるのか?」
「……何でも?」
「ほら、洗濯とか料理とか……」
「ああ。」
聖時は合点の言った表情を見せた。
「洗濯は洗濯機がやってくれる。
でも畳んだりは面倒くさいからな。
基本的には乾燥機に突っ込んでるのをまた着てる。
シャツ系は20着くらい買った。
行ける時にまとめて出すんだ、クリーニングに。」
聖時は淡々と暮らしぶりを説明してくれる。
「料理はほぼしない。
ってか、してる暇がねえ。
掃除機はルンバだ、ルンバ。
勝手にやってくれてるからな。
まあ、そんなに家にもいないがな。」
聖時の語る言葉を唖然としながら聞いた。
質問したのは俺だが……
聖時は適当に向けていた視線を俺に戻した。
「でも今はどれもこれもしていない。
莉奈がいると部屋がいつも綺麗だ。
欲しいものはすぐに出てくる。
食事もな。」
フッと笑う聖時。
いや、どや顔?
きっと……
自慢しているんだ。
俺の彼女すげえだろ。
ってなもんだ。
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