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その音にまたしても皆が視線を向ける。
扉が開くと新見さんよりかなり背の高い男性が颯爽と現れた。
部屋に入って来ただけで……
空気が変わる。
それを肌で感じて……
俺の中に緊張が走る。
「申し訳ない、お待たせしました。」
落ち着いた低い声音が部屋に響いた。
ピリッとした緊張に包まれた。
慌てて腰を上げて、男性と対峙する。
鋭い瞳が絡む。
……これは、一筋縄ではいかない
俺の五感がそう叫ぶ。
スラっと背が高く、モデルと言われても納得出来るくらい整った顔つき。
ゾクッと鳥肌が立った。
「いえ、こちらこそお時間を作っていただき感謝しております。」
男性に深々と頭を下げた。
俺に続いて工藤と聖時も頭を下げる。
瞳の鋭さも表情も一切変わらない。
真っ直ぐに見据えられたまま男性はまた口を開いた。
「お座りください。」
言葉と一緒に添えられた右手はソファに座るように促している。
俺より……
背は高いかもしれない
それもあって威圧感も凄い。
軽く会釈をして「失礼します。」そう言いながらソファに腰を下ろした。
「……星野……聖時…さん?」
俺の瞳をまっすぐに見つめて、男性はそう訊ねてきた。
「いえ、聖時はこっちです。」
右手で聖時が座っている左を示した。
「始めまして。星野聖時です。」
聖時のいつもより緊張している声音。
それでもその瞳は真っすぐで強い。
男性は聖時と瞳を絡めて暫くの沈黙が流れた。
「……課長?」
新見さんに名前を呼ばれて男性は身体を動かした。
「失礼。」
そう言葉を発しながら懐に手を入れて名刺を取り出した。
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