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「それなのに……
悠子は……
もっと……もっと……望んでしまう……」
俺の手の甲に突然感じる熱い雫。
それが涙であることに気が付いて「悠子さん」名前を呼んだ。
「煌人さんと……」
悠子さんが顔をあげた。
「ずっと……一緒にいたい」
ドクンッ!!
大きく心臓が跳ねて、悠子さんを抱き寄せた。
細い肩が小さく揺れる。
柔らかい髪が頬に触れて……
優雅に甘く香ってくるローズ。
「……今はまだ……悠子は……聖時さんの婚約者のまま……
ですから……それが無理なことも……わかっていますわ……」
悠子さんの俺への想いが溢れてきて……
「……だから……これは……悠子の我儘ですの……」
悠子さんは俺の腕の中でふ~と息を吐き出した。
そして……
俺の胸元をギュッと掴んだ。
「煌人さんと……離れたくない。」
悠子さんの……想い。
俺の胸をこれほどまでに焦がす人は……
生涯この人以外現れない。
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