全てを守るための決断

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 身体を離して頬に触れる。  そのまま悠子さんの唇を貪る。  角度を変えて何度でも……  コンビニから差し込む光が悠子さんを(まばゆ)く魅せる。  こんなにも全てが欲しいと思った人もいない。 「……ッん……」  悠子さんの艶めいた声音が漏れて……    唇を離した。  またグッと悠子さんを抱きしめた。 「明後日。」 「……え?」  悠子さんの消えそうな声音。 「明後日、聖時と知事に会いに行く。  正式に聖時との婚約を破棄しに。」  悠子さんの肩がビクッと震えた。 「大丈夫。」  力強く言葉にした。 「俺に任せてください。  星野は絶対に潰させない。」  ゆっくりと身体を離して……  潤んでいる悠子さんの真っ赤になった瞳を見つめる。 「あなたを決して諦めない。  だから……  明後日の土曜日の夜。  聖時の婚約者でなくなった悠子さんは俺の恋人として俺と初めての夜を過ごす。」  ツーっと流れてくる悠子さんの涙を拭う。 「離れたくないのは、俺も一緒です。  それは、我儘じゃない。  好きなんだから当たり前の事です。」  もう一度悠子さんの唇にキスを落とす。  誓いのキス。 「土曜日の夜、迎えに行きますから。  俺の事待っていてください。」  悠子さんは俺の言葉に頷いて「……はい」しっかりと言葉にした。  
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