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聖時のその言葉に知事は視線を向けた。
その表情は驚いていて。
始めて見せた……父親の顔。
「……ご存知でしたか?」
だけど、すぐに無表情に戻る。
「フン。
悠子が誰を好きだろうが関係ない。
あれは誰と結婚しても私の力で幸せになれる。」
その言葉がどうしようもなく俺をイラつかせて。
それを本気で言っているとしたら
悠子さんが救われない!!
「知事。」
低い声音で知事を呼んだ。
「俺たち星野が自分たちの目指す事業を安定させたら……
悠子さんを俺にください。」
これで……
三度目。
救いようがないダメな父親でも、悠子さんの親には違いがない。
悠子さんと結婚出来れば、このダメ親父はいずれ俺の義理の父になる。
敵であって……
───敵じゃなきゃいい。
本当はそう思ってる。
だけど。
この人には負けるわけにはどうしてもいかない。
この人を越えられなきゃ
星野は救えない。
悠子さんも一生俺のものにはならない。
「悠子さんを幸せにするのは知事の役目じゃない。
俺です。」
「ククククク」
知事は俺の本気を笑い飛ばす。
「煌人くん、君も往生際が悪いね。
それは夢の話かね?」
「……どういうことですか?」
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