全てを守るための決断

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 *****  勝ったのか負けたのか  その勝負はまだわからない  でも……  聖時と悠子さんの婚約は破談になった。  それだけは確か。  今日の一番の目的は"それ"だったから……  目的だけは果たしたのだろうか。  轟の屋敷を後にして、工藤の待つレクサスへ戻る。  この寒空の下、工藤はレクサスの前で俺たちを待っていた。  俺と聖時に気付くと工藤は背筋を伸ばした。 「お帰りなさい。」  工藤は俺に視線を向けて声をかけた。 「幸運は現れましたか?」  ……幸運か  工藤の言葉に ふ~、と大きく息を吐きだした。 「工藤の言う通りだ。  幸運は自分で手繰り寄せなきゃいけない。」  そして、聖時に視線を向ける。 「ここからだ。  聖時……俺は絶対に負けたくない。」  力強く言葉にして熱い瞳を向けた。 「ああ勿論。  俺も負けるつもりなんて毛頭ない。  クソ狸をケッチョンケチョンにしてやろうぜ!」  聖時の言葉に小さく笑って聖時の肩を叩く。 「……聖時さんって……そんなキャラでした?」  工藤が言葉を挟んでくる。 「そんなキャラって何だ?」  聖時は訝しい表情で工藤に聞いた。 「ケッチョンケチョンとか……  そんなこという人今時いませんよ。」  工藤はそう言って砕けて笑う。 「……笑いすぎだ。」  聖時は小さな声音で言い返した。  穏やかになった聖時。  聖時を変えたのは…… 「静かな月も星の煌きに更に輝きを増す。  聖時を変えたのは、彼女の存在だ。  いいだろ。  こんな弟も。」  そう言葉にして二人に笑う。  工藤はニッと口角を上げた。 「俺は秘書としてお二人をどこまでもサポートします。」  工藤はちゃんと聖時を受け入れた。
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